理事長・院長紹介

理事長・院長挨拶

理事長・院長

理事長就任のご挨拶

 医療法人伊東会の第3代理事長就任にあたって皆様にご挨拶申しあげます。 これまで、病院長就任後、隆利理事長と二人三脚で、歯科口腔病院を立ち上げ皆さんと共に頑張ってまいりました。その間、熊本大地震、コロナパンデミックに見舞われ大変な苦労をしましたが、何とか乗り越えてきております。これからが病院のさらなる発展を考える第3章の始まりです。もう一度原点に立ち返って考える必要があります。まず重要なことは、伊東会のフィロソフィー(哲学)を基本に考え、何のために伊東会があるのか、何のために伊東歯科口腔病院があるのか?について考えなければなりません。
 伊東会、伊東歯科口腔病院のフィロソフィー(理念)は “歯科医療を通じ健康生活に奉仕する” です。この理念を通して、自分の周囲の人々だけでなく、自分たちが住んでいる地域社会の人々、さらには国民すべての幸せを願うことであります。それらを追求していくために、「これまでを振り返り」、「いま、何をなすべきか」、「今後何を求めていくのか」についてスタッフ、患者様と共に考えていきたいと思っています。これまで先人たち(初代、二代目)の努力で積み上げてきた伊東会という確固たる石垣も、あぐらをかいていれば、崩れるのは一瞬です。患者様の口腔の健康のためにスタッフ一人一人が主体となって、伊東歯科口腔病院を創り上げていく、という気概を持って頑張っていかねばなりません。これから迎える85周年、さらには100周年に向けて、もう一度気持ちを引き締めて、伊東会の理念を思い描きながら、みんなで協力、努力し、その達成に向けて今日、今から奮闘していくことが必要です。
これまで歯科界の二、三歩先をみて努力した結果が今の伊東歯科口腔病院があります。まずは、①今の伊東歯科口腔病院に宝は何があるか?②その宝を生かすにはどうするか?③その宝を生かすには何がいるか?④その宝を生かせば何が得られるか?⑤その他にはどんな宝があるか? どんどん宝を探していけば、その先にはきっと素晴らしい未来が開けるものと信じています。
そのようなことを考えながら、今後の歯科医療を取り巻く環境やわれわれが目指す歯科口腔病院としての医療の在り方について所信を述べたいと思います。

<1.なぜ熊本に歯科病院ができたのか?>

 人口約72万人の政令都市である熊本市になぜ歯科病院ができたのでしょう?多くの方々から質問を受けます。その理由として、1.歯科大学がなく、熊本大学病院には歯科口腔外科があるのみである、2.大病院には歯科が併設されていないか、あっても歯科口腔外科が主体である、3.歯科の総合的な専門的治療を受けられる施設がなく、歯科大学がある県とは医療の格差が生じている、ということからであります。
 歯科病院とは一次医療から二次医療まで、すなわち外来診療から入院治療まで、また、これからの高齢者、有病者治療、障がい者治療を考える時に求められる医療の在り方と考えています。また、学生の頃から患者主体の一口腔単位の治療をしなければならないと教えられてきましたが、実際はどうでしょう。各科単位の治療が主であり、一つの治療が終わると次の診療科へ、と統一した診断のもとに総合的な、専門的な治療が行われているとは言い難い状況です。私も長年、大学に勤務した経験から隣の科との壁の厚さを感じていました。熊本に帰ってから、理想的な治療を行おうと、この壁をぶち壊して真の一口腔単位の治療を行うように取り組んでいます。患者様が各科を動くのではなく、患者様の周りに各科の専門医が集まり専門的な治療計画を立て、専門的に患者本位の治療に取り組むことであります。これが歯科大学病院とは違った伊東歯科口腔病院の大義であり大きな特徴であります。

<2.なぜ歯科病院として機能しているのか?>

 歯科病院として機能的にも、経営的にも上手くいくのかとの危惧もありました。そこで、1.矯正歯科と口腔外科のコラボレーション、特に顎変形症治療と育成・厚生医療の活性化による統合的な治療と病床稼働率の向上、2. 病病、病診連携の強化、3. 歯科の救急診療:熊本市や歯科医師会からの委嘱や当院の理念による24時間365日の診療体制、4.有病者・高齢者の安心・安全な歯科治療、5.障がい者(児)の安心・安全な歯科治療、6.一般歯科と矯正歯科のコラボレーション、7.小児歯科と矯正歯科のコラボレーション、8.インプラント科、補綴科などと矯正歯科の連携治療を行うことにより、総合的・統合的治療が行うことができ患者のQOLに貢献するとともに、経営も順調になってきました。今後、これから増加するであろう高齢者や醜形障害に悩む患者様に対して総合的に治療ができる、すなわち、「心から口腔・身体までの歯科を主体とした統合的治療」が求められる医療機関へと充実させていきたいと考えています。

<3.疾病構造の変化への今後の対応と戦略>

 歯を削って被せて、悪くなれば抜歯をして、というような従来型の形態回復治療から、形態回復後の予防、重症化予防による機能回復を図ること、に変化してきました。また、現代の子どもたちは、むし歯は極端に減少しましたが軟食化に伴う不正咬合が増加しており、それに対する食育や予防法の確立が望まれます。当病院では保育園等で食事指導やカムカム運動を行っていますが、顎の発育に対しては単独での解決は難しく教育、行政、家庭、歯科医師が一体となって指導、改革を行っていかないと解決は難しいと考えています。また、義歯に変わりインプラントを希望する患者が増加していますが、超高齢者になった時のインプラントへの対応も今後問題となるでしょう。
 高齢社会から超高齢社会を迎える中で歯科訪問診療の依頼が急増しています。 歯科訪問診療は歯科医療機関に通院が困難な要介護高齢者や障害を持つ人たちの自宅、病院、施設へ出向き、計画的に診療そのものを行うことが目的です。現在の訪問歯科治療は、歯の治療や抜歯など外科的治療が多く、本来清潔な環境でされるべきです。しかしながら現状ではベッドや布団の上で、しかも歯科診療室とは異なりさまざまな悪条件の中での診療を余儀なくされています。入れ歯の調整や簡単な口腔ケアなどのメインテナンスであれば現在の訪問診療で十分だと考えられます。しかし多くの歯が残っている高齢者が多い現在、種々なる疾患を持つ有病者に対し歯周治療や根面カリエス治療、局所麻酔を使用しての抜髄などの治療を行わなければならない場合が多くみられ、ベッド上で完全な治療が行えるか、訪問診療による治療の限界があることは明白です。また、数回にわたる訪問歯科診療で不完全な歯科治療を繰り返すよりも、入院下で集中的に安全に完全な治療をスピーディーに行い、その後のメインテナンスおよび再発・重症化予防を訪問診療で行うことが正しい医療の在り方といえるのではないでしょうか。入院し集中的に治療を行うと治療費が高額になると誤解されていますが、入院で治療した場合の治療期間と治療費を訪問診療の費用と比較すると、訪問診療の方が治療期間は長く、治療費も高くなるという結果が出ています。自分の口でしっかり食べられることが多くの病気を防ぎ、健康を取り戻すことを考えますと、症例によっては入院し集中的に完全な治療を行い、早くメインテナンスに持ち込むことが国家の医療経済的にもいい結果をもたらすのではないかと考えています。このようなことから当院訪問診療部では、今後高齢者の入院下での集中的治療を行うことによって完全な治療とメインテナンスを徹底的に行うことによる再発・重症化予防に力を注ぎ、機能を回復することで国民の健康寿命の延伸を図りたいと考えています。

<4.人口減少、過疎化に伴う伊東歯科口腔病院の役割 >

 熊本医療圏では人口減少が著しく、患者数の減少が多い地域もみられますが、当病院では幸いにその影響は今のところ少ないようです。それよりも、過疎化による医療格差の方が問題と考えています。
 社会的に過疎化が進む中で、歯科分野でも特殊な診療部門(矯正歯科、インプラント、障がい者歯科等)の医療過疎が問題となり、地域による医療格差が大きくなってきています。過疎地域でも、一般歯科治療は地域の先生方の献身的な貢献により熊本市と変わらない治療が受けられます。しかしながら特殊部門では、定期的に熊本市の診療施設に通院加療を受けることになりますが経済的にも時間的にも難しく、また過疎地域では専門科だけで経営が成り立つことは難しいと考えられます。地元の先生方から、伊東歯科口腔病院の協力で特殊部門の治療ができるように臨床教育、技術指導等を行ってほしいとの要望があり、また地方の先生方から歯科医師派遣の要請がありますが今のところ実現までには至っていません。今後はWebやZoomを利用した遠隔診療補助、研修会を通じて地域連携を強化し医療格差を少なくする必要があると考えていいます。
 これからの高齢・超高齢社会を迎え「歯科に特化した」から「歯科を主体とした」歯科病院づくりを行い、全ての患者様に満足いただける「精神(こころ)から口腔、身体までの統合的な医療」を展開し、国民の「健康長寿」に貢献するべくスタッフ一同努力してまいりますのでよろしくご指導、ご鞭撻の程お願い申し上げます。

2023年6月1日
医療法人伊東会 伊東歯科口腔病院 理事長・院長 伊東隆三

経歴

1973年
神奈川歯科大学卒業
1977年
鹿児島大学大学院医学研究科(口腔外科学)修了、医学博士
1977年
福岡歯科大学助手(歯科矯正学)
1978年
福岡歯科大学講師(歯科矯正学)
1980~81年
カルフォルニア州立大学ロサンジェルス校(UCLA) 歯学部客員教授(歯科矯正学講座)
1987年
福岡歯科大学大学院助教授(歯科矯正学)
2001年
(医)伊東会伊東歯科医院勤務 顎・顔面・歯列矯正部門長
2009年
(医)伊東会伊東歯科口腔病院 副病院長就任
2013年
(医)伊東会伊東歯科口腔病院 病院長就任
2023年
(医)伊東会伊東歯科口腔病院 理事長・院長就任

現在に至る

  • 日本矯正歯科学会認定 
    矯正歯科指導医・臨床指導医
  • 日本成人矯正歯科学会認定 
    成人矯正歯科総合指導医・臨床指導医